32歳の井上選手は、ここまでプロ30戦全勝、27KOで、スーパーバンタム級4団体統一王座の5回目の防衛戦として、名古屋市のIGアリーナでWBA=世界ボクシング協会、スーパーバンタム級の暫定チャンピオンで、ウズベキスタンのムロジョン・アフマダリエフ選手と対戦しました。

井上選手は「キャリアで最大の強敵なので判定勝ちでもいい。12ラウンドをフルに使う」と試合前から話していたとおり、左のジャブで相手との距離を確認しながら的確にパンチを当て、9ラウンドまでほとんどポイントを失わない安定した試合運びを見せました。

終盤は相手のパンチを受ける場面もありましたが、軽快なステップワークで間合いを詰めさせず、12ラウンドまで戦い、3対0で判定勝ちをしました。

井上選手の判定勝ちは、2019年11月に行われたフィリピンのノニト・ドネア選手との試合以来で、4団体統一チャンピオンとして5回目の防衛に成功しました。

井上選手はこれでプロ31戦全勝としました。

井上尚弥「倒しにいかない難しさ発見」

井上尚弥選手は「しっかりとポイントをピックアップしていくボクシングをしていくと決めていたので、最後まで作戦を実行して戦うことができた試合だった。アフマダリエフ選手を相手にこの戦い方ができたことは100点だと思う」と振り返りました。

一方で、ノックアウト勝ちもできた展開だったのではないかという質問に対しては「ノックアウトで勝てるシーンも作れたと思うが、そこで倒しにいこうとしたらまた違った展開になっていた可能性もある。倒しにいかないことがこれほど難しいことなのかと発見もあった。とはいえ、何回も『倒しに行ってやろうか』とも思っていた」と話していました。

そのうえで「判定で勝てたことは満足だがノックアウトで勝つのもボクシングのだいご味。これからもいいボクシングをしていきたい」と意気込んでいました。

武居由樹 プロ初の黒星 世界タイトル失う

一方、同じ会場で行われたWBO=世界ボクシング機構のバンタム級の世界タイトルマッチは、3回目の防衛戦に臨んだチャンピオンの武居由樹選手が、メキシコのクリスチャン・メディナ選手に4ラウンド、テクニカルノックアウトで敗れ、世界タイトルを失いました。

武居選手は第1ラウンドに相手の右のフックを顔面に受けていきなりダウンを奪われました。

その後も武居選手のパンチに合わせる形で攻めてくるメディナ選手に苦戦する場面が多くなり、迎えた第4ラウンドにはロープ際に追い込まれたあと、右のアッパーを連打で受けたところでレフェリーが試合を止めました。

武居選手は4ラウンド1分21秒でテクニカルノックアウトで敗れ、プロ12戦目で初めてとなる黒星を喫し、世界タイトルを失いました。

武居選手は「相手に研究をされていて自分のパンチが読まれていた。まだ現実を受け入れることができない。相手はパワーもあったし技術の差も感じた」と悔しさをにじませていました。

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