
山形県は、県内にある半導体関連拠点の見学会を実施した。2025年度の新規事業で、山形大学の工学部生や大学院生約40人が9月に計3カ所を訪ねた。半導体産業に対する学生の関心を高め、若手技術者の確保につなげる狙い。県は成果を確かめ、26年度以降も続けるか検討する。
25日はソニーグループの半導体製造部門、ソニーセミコンダクタマニュファクチャリング(SCK、熊本県菊陽町)が鶴岡市に持つ山形テクノジーセンターを22人の1年生が訪ねた。スマートフォンなどに使う画像センサーの技術説明を受け、デモンストレーションで車載用センサーや異物検査・素材選別用センサーの機能を体感した。

山形大OBの技術者と交流し、クリーンルームも見学した。参加した男子学生は「ゲーム機やスマホの開発に携わりたくて工学部に進んだが、そうした機器の頭脳であり、目でもある半導体にも一層興味を持った」と話した。地元就職を希望する女子学生は「関心のあるソニーグループの実像を詳しく知ることができた」と笑みを浮かべた。
県産業技術イノベーション課の清和勝利課長は「見学会に参加することで県内半導体企業を就職先の選択肢の一つとしたり、将来の進路を考える際の参考にしたりする学生がひとりでも多くなるとうれしい」と語った。
東北では産学官連携組織の「東北半導体・エレクトロニクスデザインコンソーシアム(T-Seeds)」が24年度に民間主導で「再起動」した。九州に並ぶ半導体産業の集積地として栄えた東北の復権をめざしている。6県に関連企業や研究機関がまんべんなくあり、地域と産業が相乗的に成長する姿を想定している。
T-Seedsの取り組みにはSCKや山形大学、山形県のほか、18日に見学を受け入れたエムテックスマツムラ(天童市)や山形サンケン(東根市)も参画している。

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