この中で野口委員は、アメリカの関税措置について「世界経済は4月以降、大きな下方リスクに直面してきた。そのリスクがどの段階でどの程度まで解消されるのかは、現状ではまだ明確ではない」と指摘しました。

一方で「日本の各種経済指標を確認すると、2%の『物価安定の目標』達成は着実に近づいている。それは政策金利調整の必要性がこれまで以上に高まりつつあることを意味している」と述べました。

その上で野口委員は「下方リスクはありつつも、政策判断における上方リスクの重みがより増している。金融政策は今、状況の見極めが必要な局面にさしかかっている」と述べ、物価上昇のリスクを念頭に追加利上げを検討すべき時期が近づいているという認識を示しました。

金融市場では、日銀の政策決定に関わる9人の委員の中でも野口委員は金融引き締めに慎重な立場だという見方がありますが、今回の講演では追加利上げの可能性に踏み込んで言及した形です。

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