JA全農にいがたは、19日開いた会合で農協が農家に前払いする「概算金」の目安を決めました。

それによりますと主力のコシヒカリは、見た目の評価が最も高い1等米の場合、一般のコシヒカリで60キロ当たり3万円と、去年に比べて1万3000円、率にして76%引き上げました。

このほか
▽魚沼産のコシヒカリは去年より66%高い3万2500円
▽岩船産と佐渡産はそれぞれ75%高い3万300円となりました。

JA全農にいがたによりますと、コシヒカリの概算金が新潟県内のすべての地区で3万円以上となるのは初めてで、引き上げ幅も過去最大だということです。

概算金を引き上げた理由について、JA全農にいがたは高温や水不足による収穫量への影響が懸念されるなかでも、確実に集荷を進め、コメを安定的に消費者に供給するためだとしています。

概算金はコメの流通価格を形成する指標となっていて、全国各地で引き上げが相次いでいることから、新米の販売価格にどう影響するかが注目されます。

農事組合法人の代表理事「評価したい」

新潟県南魚沼市のおよそ15ヘクタールの田んぼでコシヒカリを生産する農事組合法人「ARA」の廣田正夫代表理事は「ここまで高くなるとは驚いた。JAは思い切ったと思うし、評価したい」と話していました。

廣田さんは肥料や農機具などが高騰し生産コストが増えているとして「農家としてはコストの上昇分を考えると適正な金額だと思う。一方で、消費者に受け入れてもらえるよう理解を求めていく必要がある」と話していました。

農家「戸惑いもある」

新潟県魚沼市や南魚沼市にあるおよそ90ヘクタールの田んぼでコシヒカリを中心に栽培する関隆さんは、「長年、米の価格が低い状態が続いてきていたこともあり、今回の金額にはびっくりしている。ここまで高くなると戸惑いもあるが、コメづくりを続けてきてよかったと思う」と話していました。

一方で、関さんは、高値が続くと消費者の間でコメ離れが起き、価格が暴落する可能性があると指摘していて、「若い世代が希望を持ってコメづくりができて、消費者にも喜んで買ってもらえる価格を今後、国が示していくべきだ」と話していました。

また、関さんは県内のコメ農家の高齢化が深刻になっているとしたうえで、「10年早く、この金額になっていれば、若い世代もコメづくりに希望を持つことができ、もう少し状況は違ったはずだ。いま現場は全く元気がなく、いまさらだとも思う」と話していました。

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