従来より3倍の長さのトイレットペーパーに関する特許権を侵害されたとして、日本製紙子会社の日本製紙クレシア(東京・千代田)が大王製紙に製造・販売差し止めと損害賠償などを求めた訴訟の控訴審判決が8日、知財高裁であった。中平健裁判長は特許権の侵害を認めなかった一審・東京地裁判決を支持し、日本製紙クレシア側の控訴を棄却した。

裁判で争われたのは、長巻きにしながら柔らかさも保てるよう紙の表面に付けた凹凸やパッケージに関する3件の特許権。日本製紙クレシアが2017〜20年に取得した。

知財高裁判決は大王製紙の製品の凹凸の深さは日本製紙クレシアの特許発明が定める数値の範囲にないと認定。パッケージの持ち手の穴の形も構成が異なるとして、いずれも特許権の侵害にあたらないと結論付けた。

日本製紙クレシアは大王製紙が「エリエール」ブランドで販売する3製品の製造・販売の差し止めや廃棄、3300万円の賠償を求めていた。24年8月の一審・東京地裁判決も特許権の侵害を認めず、日本製紙クレシアが控訴していた。

8日の判決を受け、日本製紙クレシアは「内容を精査の上、今後の対応を慎重に検討する」とコメントした。

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