増築工事に取り組むスズキハイテック本社工場(9日、山形市)

めっき老舗のスズキハイテック(SHT、山形市)は9日、本社工場増築の起工式を開いた。30億円超を投じて新棟と加工・検査ラインを整備し、2026年内に稼働させる。ハイブリッド車(HV)の燃料噴射装置用部品のめっき能力を2倍に増強。電動車(xEV)のパワーコントロールユニット(PCU)用ヒートシンクのめっき能力も高める。

増築する新棟は地上4階建てで、延べ床面積は約1200平方メートル。本格的に立ち上がれば、雇用は40人ほど増える見通しだ。HV・xEV向けのめっき技術は「他社がまねをしにくい独自技術」(鈴木一徳社長)で、同社の急成長を支えている。顧客企業の期待も大きい。

SHTは半導体の後工程を手がける尾長島工場(山形県川西町)の新棟も竣工した。電力制御用のパワー半導体などの製造が国内へ回帰しつつある現状を受け、リードフレームのめっき加工能力を増強する。業界構造をよく知る技術者や営業担当者らも新たに雇い入れ、受注増につなげようとしている。建物や設備への投資は14億円弱。

鈴木社長は「今期はステップの段階だ」と説明する(9日、山形市)

確立した微細技術の社会実装などにも取り組み、30年5月期の売上高を92億円と25年5月期のほぼ2倍に引き上げる計画だ。鈴木氏は「HV・xEV関連事業が立ち上がった21年5月期がホップだとすれば、今期はステップの段階にあたる。30年5月期に計画を達成できたらジャンプだ」と説明する。

山形市の佐藤孝弘市長は起工式に出席。「高度な生産体制を整備し、雇用拡大と地域経済活性化につなげる意義深い事業だ。山形市を代表する企業の一つとして、地域経済のけん引役としてますます発展してほしい」と祝辞を述べた。

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