村田製作所が開発したマスクに装着する音声入力デバイス。マスク表面の振動を音声データ化する=千葉市の幕張メッセで2025年10月14日、成澤隼人撮影

 デジタル技術の展示会「CEATEC(シーテック)2025」が14日、千葉市の幕張メッセで開幕した。暮らしや生活に密着した人工知能(AI)関連の技術やサービスが数多く並んだ。17日まで。

 今年は810の企業・団体が参加し、半数近くがAI関連の技術を展示。スタートアップ(新興企業)と大学の研究機関の出展は232社・団体で過去最多となった。

 村田製作所は、今年の「CEATEC AWARD」で「デジタル大臣賞」を受賞した、マスクに装着する音声入力デバイスを展示。マスクの振動から音声を検出するため、周囲に騒音があっても話者の声を認識できる。担当者は「将来的には、ささやきや口パクでも音声入力を可能にしたい」と語った。

 電機各社は多種多様なAI関連サービスをアピールした。三菱電機は「働くこと」に焦点を当てた。非接触センサーで従業員の「眠気度」や「集中度」を計測してAIがオフィスの空調や照明を自動で調整したり、AIが自律的に工場の生産ラインを制御したりする技術を出した。

ゴルフのアプローチショットをAIで解析してアドバイスする技術を展示する富士通のブース=千葉市の幕張メッセで2025年10月14日、成澤隼人撮影

 富士通は「人の能力を拡張するAI」をコンセプトに、ゴルフのスイングをAIで分析してアドバイスする体験型ブースを設置。NECは映像認識AIと生成AIを組み合わせ、ドライバーの事故発生リスクを分析する技術を出展したほか、シャープは手のひらサイズの対話型AIロボットを展示した。

 家電量販店やハウスメーカーも数多く出展。デジタル技術を活用した次世代型のスマートホームなど、未来の暮らしを実体験できるコーナーも設けられた。

 シーテックを主催する電子情報技術産業協会(JEITA)の担当者は「AIやITそのものではなく、テクノロジーを活用して暮らしをどうより良くできるか、知恵や工夫を凝らした展示が目立った」と話した。【成澤隼人】

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。