日本郵船グループのMTI(東京・千代田)や三菱造船などは14日、デジタルを使った次世代船舶の効率的な開発や、運航環境の予測技術についての研究を始めたと発表した。期間は2030年9月末まで。科学技術振興機構(JST)は5月末、同機構の「経済安全保障重要技術育成プログラム」に採択した。
MTIや三菱造船のほか、常石造船や海洋研究開発機構、ジャパンマリンユナイテッド(JMU)、三井E&S、海上・港湾・航空技術研究所海上技術安全研究所、常石造船昭島研究所、大阪大学、京都大学の10機関が連携する。予算は最大で120億円を見込む。
開発・設計段階で建造や運用のライフサイクル、供給網をシミュレーションする手法を磨く。デジタル技術を用いた仮想空間での設計・試作、安全試験を手がけるバーチャル・エンジニアリングについても取り組む。
船舶運航に影響を与える気象についても研究する。台風などの気象を1〜3カ月先まで予測する技術も確立を目指す。共同研究で開発した成果は「統合シミュレーション・プラットフォーム」として、船舶建造で実証していく。
船舶は今後、環境規制への対応で水素やアンモニアなどの次世代燃料船や自動運航などの制御システムの需要が高まる。ただ、次世代船舶は機能や構造が複雑で、建造に時間がかかる。日本の海事産業は人手不足が続いており、新造需要に対応するためにも効率的な開発・建造が欠かせない。
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