
JR四国が情報システムの保守業務を外部委託する際、事業者が実際の作業に要した時間を「基準価格」(最終的な契約金額の上限となる価格)に反映しないまま随意契約をしていたことが、会計検査院の調べで判明した。見積もり段階の作業時間が実際の10倍以上だったケースもあり、最終的な契約金額が過大になっていたという。
検査院は「実際の作業時間などを把握して見積もりの妥当性を検証し、『基準価格』の設定に反映させる重要性の認識が欠けていた」と指摘した。
検査院によると、JR四国は27の情報システムを運用し、稼働状況の監視業務などを随意契約で外部に委託している。契約に際しては作業内容ごとの工数(作業時間)に人件費単価(技術者1時間当たりの単価)を乗ずるなどして基準価格を設定し、最終的な支払額を算定している。
検査院が2023~24年度の随意契約計49件を調べたところ、うち3件は基準価格が適切に設定されていなかった。例えば、施設指令支援システムの保守業務の契約では、見積もり段階で23年度と24年度の作業時間がいずれも「780時間」とされていたのに対し、実際は23年度が「76・5時間」、24年度は「71時間」だった。3件の基準価格は計1887万円に設定されたが、作業実態を反映していれば計673万円まで減額できていたという。
そもそもJR四国が実際の作業時間自体を把握しておらず、基準価格の妥当性を検証できない契約も33件(基準価格は計1億1909万円)あった。【山田豊】
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