
オーディオブックを手がけるオトバンク(東京・文京)が主催する「聞く読書」の展示会が16日、東京・下北沢で始まった。小説やビジネス書の音声版を試聴できるほか、会期中には声優らの朗読イベントも開く。オーディオブックの普及を促す。
展示会「読書、諦めなくてもいいかも展」を19日まで、東京・下北沢のレンタルスペース「BONUS TRACK(ボーナストラック)」で開く。入場は無料で、オトバンクが提供するオーディオブックをヘッドホンで聴けるブースを設けた。
会場では、宮島未奈氏の小説「成瀬は天下を取りにいく」、文芸評論家・三宅香帆氏の「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」などのベストセラーを声優らが朗読したコンテンツを試聴できる。会期中には、来場者がその場で書いた短編を声優が朗読するイベントも開く。

オトバンクはオーディオブックの配信サービス「audiobook.jp」を提供し、通勤や家事の間の「ながら聴き」需要を取り込んできた。紙の本を読む習慣から離れていた大人のほか、近年は小学生など若年層にもユーザーを広げている。会員は25年3月時点で324万人と、この5年で2.5倍になった。
オーディオブックは視力が低下した高齢者や、文字の認識が難しいディスレクシア(読字障害)がある人も文学を楽しめる環境をつくる「読書バリアフリー」の手段としても注目されている。
上田渉会長は「聞く読書は、障害の有無にかかわらず誰にでも開かれた読書の形として広がりつつある。オーディオブックという選択肢によって、紙の本を読むのが難しい人も読書を諦めなくていい状況ができてきた」と話した。
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