
ニッスイグループで養殖事業を営む黒瀬水産(宮崎県串間市)が参画するコンソーシアムが、串間市沖で水素燃料電池を搭載した養殖給餌漁船の実証実験を始めた。漁船の脱炭素化に向け、蓄電池と組み合わせて航行可能時間などについて、最適な条件を検証する。実験は2026年2月末まで実施する予定。
実験に使う給餌漁船「ZERO-E黒瀬」は、18トン型で、推進出力は250キロワット。電力源として水素燃料電池とリチウムイオン電池を併用する。水素満充塡(約16キログラム)、リチウムイオン電池満充電(200キロワット時)で2日間稼働できる。
実験は黒瀬水産の養殖拠点で26年2月末まで実施。航行可能時間や操業可能時間について、水素燃料電池と蓄電池の組み合わせによる最適条件の検証データを収集する。既存のディーゼル船と経済性なども比較する。
コンソーシアムは黒瀬水産のほか、海洋水産システム協会(東京・中央)と水産研究・教育機構(横浜市)の3者で構成。同協会は漁船や関連機械・設備など水産業に関する技術開発や技術支援を担う。
水産庁の「養殖業シナジービジネス創出事業」に採択されており、総事業費は約3億円。同庁は漁船の脱炭素化に向けて、蓄電池とエンジンなどのハイブリッド型の動力に関する研究や、小型漁船などでの水素燃料電池化を推進に取り組んでいる。
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