JERAが新たに取得する米ルイジアナ州のシェールガス田(GEPヘインズビルⅡ提供)

JERAは23日、米国でシェールガス田の権益を取得すると発表した。米国で上流権益を取得するのは始めてで、権益取得額は約15億ドル(約2300億円)。液化天然ガス(LNG)の調達に加えて上流の権益を取得することで、ガス価格が変動した際の収益の影響を抑える。

ルイジアナ州でGEPヘインズビルⅡ社と米ウィリアムス・アップストリーム社の子会社が生産しているガス田の権益全てを取得する。米国当局の許認可を得て25年内にも権益の取得が完了する見通し。

生産したガスはパイプラインを通じて米国向けに販売している。ガス田近くにはパイプラインが整っており、LNG基地などが集積地からも近いため、販売先を確保しやすい。

ガス田の生産量はLNG換算で年350万トンで、2030年をめどに生産量を倍増させる計画。今後ガス田の掘削や採算性の検証を進めて追加投資を判断する。増産分は国内のエネルギー企業やLNGの輸出事業者などに販売する。

JERAは30年から550万トン分のLNGを米国から輸入すると決めており、調達価格は天然ガスの米国指標「ヘンリーハブ」に連動する。市場価格が上がったときにはLNGの輸入コストは増えるが、上流権益を持っていれば増益になるため収支の影響を抑えられる

JERAの田中浩介LNG統括部長は権益取得の狙いについて「ガスの生産、液化、輸出までLNGのバリューチェーンを強化する」と話した。

米政権は国内の石油ガス業界を支援しており、国内外のエネルギー需要に対応するように増産投資を促している。日本に対しても米国産LNGの調達や米国への投資を求めており、こうした政策もJERAの判断に影響した可能性がある。

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BUSINESS DAILY by NIKKEI

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