第53回日本救急医学会総会で登壇する慶応義塾大学の本間康一郎氏(28日、大阪市)

医療新興のトータルフューチャーヘルスケア(TFH、東京・港)と慶応義塾大学は28日、大阪市で開催した第53回日本救急医学会総会で、高齢者の転倒事故をセンサーで検知するシステムの実証結果について発表した。高齢化で増える転倒事故の解決につなげる。

2024年10月から約1年間、老人ホームで約200名の被験者を対象に実証し、95件の転倒を検知した。天井に設置したレーザーセンサーで高齢者の行動を認識し、転倒した場合、介護スタッフの業務用スマートフォンに通知が届く。住宅型有料老人ホームで94歳の女性が転倒し額を出血した事例では、通知を受けたスタッフが7分で到着し早期発見につながった。

高齢者の居住空間での転倒が問題となっている。厚生労働省の「国民生活基礎調査」(2022年)によると介護が必要になった原因の14%が転倒で、3番目に多い。同日登壇した慶応義塾大学医学部救急医学教室准教授の本間康一郎氏は「見逃されていた隠れ転倒も検知し、介護者の業務負担も軽減する」と話す。

TFHはコンサルティングを手掛けるイーソリューションズ(東京・港)から2023年4月にスピンアウトし、予防医学に取り組むスタートアップとして設立した。NTTドコモ・ベンチャーズ、中部電力、YKKAP、大東建託も出資している。

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