
住友化学は28日、車載電池材料を手がける連結子会社の田中化学研究所を株式交換で完全子会社化すると発表した。2026年1月30日に株式交換を実施し、田中化学は1月28日に上場を廃止する予定だ。業績に与える影響は精査中とした。
住友化学は田中化学の株主に対し約70億円相当の自社株を交付して完全子会社化する。田中化学株1株を424円と評価し、26年1月13〜16日の住友化学株の終値平均で割って交換比率を決定する。住友化学は田中化学に50.46%出資している。
田中化学は電気自動車(EV)用電池の主力材料の一つである正極材や、正極材になる前段階の前駆体を製造する。日欧自動車大手のEV不振や、スウェーデンの新興電池メーカー・ノースボルトの破産申請などで苦戦。25年3月期の単独決算は売上高が前年同期比24%減の364億円、税引き損益が2億円の赤字(前の期は25億円の黒字)だった。
住友化学は田中化学と連携し正極材の生産性を高める焼成工程の実用化を目指したが、事業化を断念し24年3月期に実証設備について減損損失を計上していた。住友化学は電池材料を成長領域と位置づけていないが、完全子会社化で田中化学への技術支援を進め上場維持に伴う経費の削減などにより収益改善も後押しする。
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