
キリンホールディングス(HD)は29日、コーヒーの実であるコーヒーチェリー由来の発酵素材を開発したと発表した。香料として酒類や飲料に使ってコクを強めるが効果があり、2025年に発売した缶チューハイに採用している。コーヒー豆製造の副産物として捨てられる素材を活用し、環境負荷の軽減にもつなげる。
コーヒーチェリーはコーヒーの木に実る赤い果実で、実の中にある種子がコーヒー豆の原料となる。副産物の果実や果皮は使える用途が少なく、キリンHDによると世界で年間約2000万トンが廃棄されている。カフェインやポリフェノールが含まれていることから水質汚染や生態系に影響するほか、農家の経済的な負担も大きい。

こうした背景から、キリンHDはコーヒーチェリーの果肉や果皮を搾汁して濃縮エキスとし、乳酸菌や酵母で発酵することで独自の素材を開発した。ノンアルコールビールに添加することで、アルコール飲用時の温感や発酵感が味わえ、清涼飲料に入れることで果実感も強くなるという。開発ではワインで培った香気増強技術を応用した。
25年発売の缶チューハイ「麒麟特製」の3商品に採用している。26年以降にはノンアルコール飲料での採用も目指す。開発に携わったR&D本部の辻さや香氏は「一般的な香料に比べ安価で、汎用性も高い。自社商品含め応用シーンを幅広く検討していく」と話した。
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