記者会見をする日銀の植田和男総裁=東京都中央区で2025年10月30日午後3時52分、西夏生撮影

 日銀は30日の金融政策決定会合で、政策金利を現行の0・5%程度に据え置くと決めた。トランプ米政権の大規模関税が、日米経済や来春の賃上げにどの程度の悪影響を与えるのかきめ細かく見極める必要があると判断した。金利据え置きは1月に最後の利上げをして以降、6会合連続。

 9人の政策委員のうち2人が据え置きに反対し、0・75%程度への追加利上げを主張した。2人は前回9月会合でも据え置きに反対していた。

 会合後に記者会見した植田和男総裁は、トランプ関税の米経済への影響について「今後消費者への関税(コストの)転嫁が進む。消費と景気へのマイナス影響はこれまでより大きくなるリスクがある」と警戒。日本企業への打撃については「関税による収益下押し圧力が作用する下でも、積極的な賃金設定が途切れないか、もう少し確認したい」と述べた。

 追加利上げを決めるうえで最も重要なのは「来年の春闘の動向」との認識を改めて表明。今後本格化する企業の中間決算発表を分析し、経営者が賃上げの勢いを鈍化させないか見極める必要があると説明した。

 市場では「利上げに否定的な高市早苗政権の発足が金利据え置きの理由」との見方もあるが、植田氏は「これまでと同様に(政府と)十分な意思疎通を図る」と述べるにとどめた。

 日銀は30日、3カ月ごとに公表する「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」も発表。2025年度の消費者物価指数(生鮮食品を除く)上昇率の見通しは前年度比2・7%で、前回(7月)と同じだった。【古屋敷尚子】

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