廃材の炭素繊維複合材料(写真㊧)を低温で分解しリサイクルしてできた炭素繊維

東レは31日、炭素繊維複合材料のリサイクルで新技術を開発したと発表した。従来技術と比べて半分以下の低温で分解できるのが特徴だ。繊維を劣化させずに資源循環でき、自動車や建材などへの利用が見込める。

炭素繊維複合材料は、炭素繊維と樹脂を組み合わせて作る軽くて強度の高いプラスチックの一種で、航空機や風車の翼部分に使われている。使用済みの複合材料から炭素繊維をリサイクルする場合、高温処理で繊維が劣化したり樹脂が表面に残留したりする課題があった。

東レは新たに炭素繊維複合材料を従来より低温で分解できる分解剤を開発した。従来比で300度近く低い250度以下で分解できるため、繊維の劣化を抑制できる。繊維に残る樹脂の残りかすも少なく、射出成型以外の幅広い用途にも対応できるという。

石油由来の炭素繊維と比較しても95%以上の強度を保て、製造工程での二酸化炭素の排出量を50%以上減らすことも期待できる。

新技術を用いたリサイクル炭素繊維を使いシート状に加工した不織布をつくり、「ジャパンモビリティショー2025」で披露されたマツダのコンセプトカー「ビジョンモデル」の内外装に搭載した。今後様々な用途向けに試作を提供していく。

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