王子製紙の苫小牧工場

王子ホールディングス(HD)は7日、傘下の王子製紙苫小牧工場(北海道苫小牧市)の新聞紙の生産設備を1基停止すると発表した。2026年3月末をめどに停止し、同工場での新聞紙の生産能力を3割(約16万トン)削減する。新聞紙の需要が減少する中で生産集約を進め、海外パッケージ事業や機能材などの成長領域に経営資源を集中する。

新聞紙の主力工場である苫小牧で、3台稼働していた設備を2台に減らす。近年は新聞紙の需要が年平均で約8%ずつ減少し、設備の稼働率は7割ほどにとどまっていた。生産集約後はフル稼働を見込み、供給に影響はないとしている。集約に伴い余剰になる従業員は、定年退職などで不足が出る部門に配置転換する。

成長領域では設備投資を実施する。王子HDは同日、ベトナム南部のドンナイ省に液体紙容器の工場を新たに設けると発表した。投資額は160億円で、28年3月ごろの稼働開始を見込む。新工場では飲料などを常温で長期保存できる液体紙容器を生産する。人口増で市場が拡大する東南アジアを開拓する。

国内では約140億円を投じ、変圧器に使うセルロース系絶縁材の生産設備を増設することも同日明らかにした。生産能力を現行の3倍に引き上げる。データセンター向けなどで高まる需要に対応する。

新聞紙や印刷用紙はデジタル化や少子化の影響で需要減に歯止めがかからない。王子HDは海外のパッケージや国内も含む機能材などの事業を伸ばし、収益改善を急ぐ。

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BUSINESS DAILY by NIKKEI

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