高市早苗首相は7日、首相官邸で開いた経済安全保障推進会議で、経済安全保障推進法の改正に向けた検討を指示した。サイバー攻撃に備えるため、電気、ガスなどの基幹インフラに医療分野を追加するほか、供給網の強化に向けて海底ケーブル整備などに支援を拡大。中国への対抗を念頭に、港湾整備など民間企業の海外事業を支援する仕組みの創設なども進める。
2022年に成立した経済安全保障推進法は、基幹インフラの安全確保▽重要物資の供給網確保▽先端技術開発の官民協力▽軍事技術に関わる特許の非公開――の4本柱で構成される。首相は「成立から3年が経過し、我が国は戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に置かれている。施策の更なる強化の必要がある」と強調。今後有識者会議を設置して議論を進め、来年の通常国会での改正法案提出を目指す。
同法で基幹インフラは現在、電気、ガス、通信など15業種が指定されている。重要な機器の調達先や保守管理の委託先について国への事前報告も義務づけてきたが、病院へのサイバー攻撃を念頭に、医療分野を追加する。
また、海外依存リスクを減らすため、半導体や医薬品などを「特定重要物資」に指定して政府が財政支援を進めてきた。今回、海底ケーブルの敷設工事などの「役務」も新たに支援対象に加える。
さらに、港湾整備など企業の海外事業支援は、中国がグローバルサウス(新興・途上国)のインフラ事業で存在感を増していることを踏まえ、これらの国との連携強化につなげる狙いがある。
このほか、官民連携で外交、防衛、経済などの情報を集約・助言する総合シンクタンクを政府内に創設することも目指す。【渡辺暢、原諒馬】
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