休漁のため漁港に停泊する小型イカ釣り漁船=函館市で2025年10月27日午前9時14分、三沢邦彦撮影
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 漁獲停止命令が出ている小型イカ釣り漁船によるスルメイカ漁について、北海道は7日、資源量などの調査を目的に道内の漁業者に限って漁を許可する方針を示した。定置網漁などを対象に道が管理する漁獲枠398トンを使い、10日の漁再開を目指す。

 調査を目的にする「特別採捕許可」を道内の小型船(5トン以上30トン未満)に出す。約200隻を見込む。10日から漁ができるように申請を受け付ける方針。定置網や刺し網の漁業者の理解が必要として、漁協などに対し協力の要請を続けている。

小型イカ釣り漁船によるスルメイカ漁の再開方針について記者会見で話す鈴木直道知事=札幌市の道庁で2025年11月7日午後3時4分、片野裕之撮影
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 小型船は主要漁場の青森県や岩手県沖で好漁が続き、全国の漁獲量が漁獲可能量(TAC)の4900トンを1000トン近く上回っている。水産庁は10月31日、採捕停止を命令。漁期開始が遅い北海道では十分な漁ができないまま禁漁となった。

 5日には全国の漁獲枠が5757トンに増枠されることが決まったが、実際の漁獲量の超過状態は変わらず、禁漁が続いていた。

 漁業者らから漁の早期再開の声が相次いだことを受け、道は道漁業調整規則に基づいてTACの枠の対象を調査名目で移し替える異例の対応に踏み切る方針を固めた。鈴木直道知事は7日の記者会見で「本来ならTACの全体の中でどうするかを考えないといけないが、時間がない。一日も早く取りたいということなので、こういうやり方しかない」と述べた。

 イカの生息域や資源量などのデータは道立総合研究機構が分析するが、水揚げされたイカは出荷される。通常の漁期は1月末ごろまでで、漁獲量が398トンを超えた場合、定置網や刺し網、5トン未満の漁船のTAC3300トン分の一部を追加で小型船のスルメイカ漁に充てる可能性がある。

 一方、道は4日、渡島地方の14漁協に対して定置網漁でスルメイカを取らないように要請した。3300トンのTACを超過し、渡島以北での漁獲ができなくなる可能性があるという。

 TACの制度について、鈴木知事は会見で「他の場所で取れて北海道はやめてくださいと早い者勝ちでやることは、感情的にも科学的にも正しいのか。検証してTACの見直しをしないといけない」と指摘した。【片野裕之】

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