上場企業の2025年9月中間決算発表が本格化している。トランプ米政権の関税政策の打撃が続くが、大幅な円安や世界的な人工知能(AI)ブームの恩恵を受け4~6月期の業績低迷から盛り返す企業も出ている。最終(当期)利益の合計が前年を上回る可能性もありそうだ。
SMBC日興証券が、6日までに決算発表を終えた東証株価指数(TOPIX)を構成する上場企業のうち、503社(全体の44・1%)を集計したところ、最終利益の合計は前年同期比0・3%減の計15兆1066億円だった。
25年4~6月期時点の全集計対象の最終利益の合計は前年同期比11・7%減だったが、7~9月期の巻き返しにより前年同期とほぼ同じ水準となっている。
売上高の合計(会計基準などが異なる金融業などを除く)は前年同期比1・9%増の181兆496億円、本業のもうけを示す営業利益の合計(同)は0・4%減の17兆252億円だった。
最終利益を業種別にみると、製造業は6・1%増の7兆7808億円。電気機器が36・7%増の2兆5027億円と好調だった。AI向けの半導体やデータセンター向け設備の需要が好調で、利益押し上げのけん引役となった。一方、自動車など輸送用機器は9・1%減の2兆1678億円。トランプ関税が依然として業績の重荷になったが、1ドル=154円台まで円安・ドル高が進行したことで円換算での利益が増えた。
非製造業は、9・0%減の6兆7171億円。デジタル化関連の需要に支えられた情報・通信業が13・6%増の1兆8386億円と好調だった。一方、電気・ガス業は59・9%減の4317億円。東京電力が福島第1原発のデブリ除去費用で9000億円超の特別損失を計上した影響が大きかった。
26年3月期の最終利益見通しは前期比7・8%減の28兆970億円で、6年ぶりの減益予想となっている。ただ、503社のうち約3割の153社が業績見通しを上方修正しており、下方修正した企業数(62社)を大きく上回った。4~6月期に減益予想だった企業が7~9月期を経て増益予想に転じるケースも多い。
SMBC日興の安田光チーフ株式ストラテジストは「自動車を中心に関税の打撃は続いているものの、4~6月に比べ不透明感が後退して順調に利益を確保している。AI需要や円安も追い風で、現在の為替水準が続けば今期最終利益の合計が前期を上回る可能性がある」と話す。【秋丸生帆】
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