農業と発電の両立を目指す垂直型パネル(北海道帯広市の帯広畜産大学)

東急不動産などは10日、帯広畜産大学内で営農型太陽光発電所を12月から運転開始すると発表した。農作業の邪魔になりにくい垂直型パネルを設置し農業と発電の両立を図る。同社と自然電力(福岡市)が設立した「リエネ自然ファーム合同会社」が運用し実用化につなげる。

今春、合同会社を設立。6月から工事を始め、大学内にある約15ヘクタールの圃場に1152枚のパネルを設置した。投資額は非公表で出力は743キロワット、年間発電量は約103万キロワット時を見込んでいる。大学での消費電力量の14%にあたり、オンサイトPPA(電力購入契約)方式で全量を大学に販売する。

先行して2024年度に垂直型と従来の傾斜型のパネル計4台を大学に設置し、発電量を比較した。土地の専有面積が少ない垂直型パネルは積雪地域でも雪が積もりにくく、日光が雪に反射することで冬季でも発電できることが分かった。

この施設での実証期間は5年間で、発電設備を稼働させながら牧草や小麦などを育て収量が確保できるかなどを観測する。

太陽光パネルの前に並ぶ帯広畜産大学の長沢秀行学長(中央右、10日の現地説明会)

同施設は自然電力子会社の北海道自然電力(札幌市)と帯広畜産大学の共同研究に使われる。長沢秀行学長は「農業分野では人口減少、気候変動などの問題がある。どうすれば自然環境に配慮し生産性が上がるかが大きなテーマだ」とし、今回の実証に対し「単なるエネルギー確保にとどまらず、環境配慮など様々なテーマで研究したい」と述べた。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。