ガス化炉の前でテープカットをするJFEエンジニアリングの鮎川取締役(左から2人目)ら(12日、千葉市)

JFEエンジニアリングは12日、家庭から出るごみを化学品原料に作り変えるガス化炉の実証設備の竣工式を千葉市で開いた。家庭ごみから水素や一酸化炭素を主成分とする合成ガスを製造する。合成ガスはプラスチックや再生航空燃料(SAF)の原料になる。資源循環を加速して二酸化炭素(CO2)排出量を削減する。

実証期間は2025年12月から26年6月まで。今回新設したガス化炉は廃棄物を分子レベルに分解して化学品原料に作り変える「ケミカルリサイクル」で中心的な役割を担う。プラスチックごみのケミカルリサイクルはレゾナック・ホールディングス(HD)などが取り組んでいるものの、様々なごみが混ざる家庭ごみのケミカルリサイクルはこれまで難しいとされてきた。

JFEエンジは様々なごみをガス化する技術を世界で唯一保有している強みを生かして、家庭ごみのケミカルリサイクルに挑む。JFEスチールの東日本製鉄所(千葉市)内に新設したガス化炉で安定的に合成ガスを製造できるか検証する。1日に処理できるごみの量はごみ収集車約10台分に相当する20トンに上る。

29〜30年度には1日にごみを150トン処理する大規模実証も予定する。31年度以降は実証設備を商用運転するほか、次世代のごみ処理施設として国内外で建設を提案していく。竣工式に出席したJFEエンジの鮎川将取締役は「廃棄物の概念を再定義することで製造業のグリーンイノベーションを進めたい」と意気込みを語った。

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