テルモの今期業績は買収関連費用が利益を圧迫する

テルモは12日、2026年3月期の連結純利益(国際会計基準)が前期比16%増の1360億円になりそうだと発表した。従来予想から70億円下振れする。英医療機器会社やドイツの生産工場の買収に伴う関連費用が重荷になる。カテーテル関連の製品をめぐり、出資していた米国企業との独占販売契約の見直しに伴う損失計上なども響く。

売上高にあたる売上収益は7%増の1兆1080億円を見込む。カテーテルや採血関連の製品の販売が好調で、従来予想から580億円上積みした。テルモは売上高の8割を海外が占める。想定為替レートを1ドル=148円、1ユーロ=169円と従来想定より円安に見直したことも寄与する。

テルモは10月末、移植用臓器の保存・輸送機器を手掛ける英オルガノックスを買収した。9月末にも医薬品の開発・製造受託を手掛ける中国企業が保有するドイツ工場を買収した。設備の償却費や人件費を含む関連費用が140億円発生する。営業利益は15%増の1815億円と従来予想を125億下回る。

同日の決算説明会で、萩本仁最高財務責任者(CFO)は買収関連費用などについて「将来の成長に向けた戦略的な取り組みに伴う一時的なものだ。買収の影響を除くと通期では売上高・営業利益ともに上方修正となる」と説明した。

同日発表した25年4〜9月期の連結決算は売上収益が前年同期比5%増の5349億円、純利益は22%増の768億円だった。いずれも4〜9月期として過去最高だった。

セグメント別の売上収益を見ると、カテーテル関連製品を手掛ける「心臓血管カンパニー」は5%増の3220億円だった。北米で値上げしたほか、脳血管治療に使う製品の国内販売が伸びた。採血や血漿(けっしょう)採取に使用する製品を扱う「血液・細胞テクノロジーカンパニー」は9%増の1070億円だった。米国で販売を始めた採血システムの製品が好調だったほか、細胞・遺伝子治療に使う装置の需要も北米を中心に伸びた。

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