日建設計が社会課題解決のために設ける拠点「PYNT竹橋」(13日、東京都千代田区)

大手建築事務所の日建設計は13日、東京・竹橋に企業や自治体を集めて街づくりの課題解決を進める拠点を17日に開くと発表した。2023年に東京・飯田橋の本社に開いた1拠点目と連携し、交流を促して事業を立ち上げる。環境配慮や人手不足に伴う交通空白などへの対策を盛り込んだ高度な街づくりに役立てる。

皇居に面した「パレスサイドビル」の5階に約1000平方メートルの拠点「PYNT(ピント)竹橋」を設けた。100人以上を収容してワークショップを開けるスペースや会議室を設けた。皇居の眺望を生かしたほか、車椅子の利用者など誰もが使いやすい床材や家具を採用した。

日建設計の「PYNT竹橋」に設ける機密性の高い会議を進める会議室(13日、東京都千代田区)

施設では企業や自治体などの参加者が課題解決のアイデアを出し合い、事業化を目指す。都市開発の合意形成に関するノウハウなどを持つ日建設計の社員ら10人程度がプロジェクトの立ち上げを後押しする。

23年に設けた飯田橋の拠点では企業や自治体から月間800人弱が集まり、これまで20件以上の実証に取り組んだ。今回設ける拠点では飯田橋の拠点で形成したコミュニティーに対してプロジェクト化や事業化を促す。

例えば築古ビルを建て替えずに改修して環境負荷を減らすためのインセンティブづくりや建設分野での資源循環の普及、地方都市での交通空白対策などに取り組む。今後、同様の拠点を北海道や大阪など全国に増やしていく。

街づくりは空飛ぶクルマや自動運転などの普及でより複雑になる。日建設計の石川貴之執行役員は「自社単独では解けない様々な課題に取り組む」と語る。イノベーションデザインセンターの吉備友理恵アソシエイトは「立場や役割、専門性が異なる人たちがつながることでプロジェクトを生み出していく」と話す。

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