
データセンター運営のハイレゾ(東京・新宿)は22日、佐賀県玄海町で人工知能(AI)向けデータセンターの開所式を行った。建物は同町から無料で借りた小学校の廃校舎を活用した。米エヌビディアの画像処理半導体(GPU)を搭載した自社設計のサーバーを使って膨大な情報処理量に対応する。
1基数十キログラムのサーバー120基を、3階建て校舎の2階にある教室を改装して設置した。サーバー室には空冷システムを配備。校舎の裏手にある山側から冷たい外気を室内に取り込み、サーバーで暖まった室内の空気を校庭に面した室外に排出する。

ハイレゾの志倉喜幸社長は開所式で、玄海町進出の理由について「電力コストや人件費などの経済的合理性、将来的なサーバーの拡張などの可変性に適した廃校舎の活用などがあった」と説明した。
データセンターは地元で採用した5人体制で運営をスタートし、2年後をメドに20人程度まで増やす可能性があるという。玄海町で計4カ所の廃校にデータセンター設置を検討している。
玄海町の脇山伸太郎町長は「原子力発電所立地自治体として、デジタルとエネルギーを融合した未来を描く上で重要だ」と挨拶。同町へのハイレゾの進出によって「人口減が進むなか、若い世代への学びの場の提供や雇用創出にもつながる」と歓迎した。

ハイレゾによると、学校の校舎は耐震性を備えているため、耐震性が求められるデータセンターに適している。廃校舎の活用で新築に比べて建設費を最大で8割削減できるという。データセンターの運営に必要な電気代や通信費についても町の誘致支援策を活用することで2〜3割のコスト削減が可能だという。
生成AIの普及によって情報処理量が膨大になり、データセンターの需要が急増している。ハイレゾは2007年設立。石川県志賀町や高松市でもデータセンターを運営しているが、廃校を活用したデータセンターの開設は玄海町が初めて。
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