
富士通は19日、国内医療機関のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援するサービスの売上高を2030年に2500億〜3000億円へ引き上げる方針を示した。電子カルテで高いシェアを持っており、顧客網を生かして人工知能(AI)を活用した業務支援サービスなどの提供に力を入れる。
日本の医療IT(情報技術)市場は現在、電子カルテが中心だが、今後は病院のDXを支援するコンサルティングやAI、セキュリティーなどのサービスが増えていくとみられる。富士通は電子カルテを含めて病院のDXを支援するサービスを広げる。
富士通は国内向け電子カルテの市場シェアで3割を占め、売上高は1000億円程度とみられる。病院向けDX支援サービスの売上高は開示していないが、市場規模は30年に8800億円と予測されている。このうち3割のシェアを目指す。

同日開いた医療関連事業の説明会で、富士通Japanの長堀泉社長は「単なる電子カルテベンダーではなく、『デジタルホスピタル』を実現するサービス提供者になりたい」と意気込みを語った。
病院向けDX支援サービスでは、富士通Japanが4月に生成AIで医療文書の作成を支援するサービスを始めた。電子カルテの情報から、入院中の患者の経過をまとめた「退院サマリー」などの下書きを自動作成する。
名古屋医療センター(名古屋市)は同サービスを10月から本格的に利用している。患者1人あたりにかかっていた退院サマリーの作成時間は平均28分から8分と、7割以上短縮できたという。
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