
東京エレクトロンは21日、岩手県で半導体製造装置の新製造棟の竣工式を開いた。2026年4月に稼働し、ウエハーに膜を張る成膜装置の同地での生産能力は最大1.5倍になる。人工知能(AI)市場の拡大に対応し、先端半導体の製造に必要な装置の供給体制を整える。
生産子会社の東京エレクトロンテクノロジーソリューションズ(山梨県韮崎市)の東北事業所(岩手県奥州市)で、「東北生産・物流センター」が完成した。建設費用は約240億円で、延べ床面積は約5万8000平方メートルの4階建て。クリーンルームを備えた上層階で装置を生産する。
東北事業所は成膜装置の主力開発・製造拠点だ。先端半導体は製造方法が複雑になり、主要工程である成膜でも装置の高度化が進む。AIサーバーを中心に半導体の搭載が世界的に増え、先端装置の需要が増していることから増産する。
奥州市での生産拠点は7棟目となる。敷地にはまだ余裕があり、将来的には市況や受注に応じてさらなる拡張も視野に入れる。
1階には物流センターを設け、生産と物流を一体化させた施設として稼働させる。同日会見した東京エレクトロンテクノロジーソリューションズの両角友一朗社長は「新たな生産の形を探りながら、半導体市場の拡大に備えたい」と述べた。
岩手県内外に点在していた倉庫を集約し、装置の部材や部品の物流を効率化する。部材配送後にすぐ組み立てできるようにするなど、生産にかかる時間を短縮する。生産効率は従来比で1.5倍になる見通しだ。部材の管理や生産エリアへの搬送にロボットを活用し、倉庫の自動化を目指す。
東京エレクトロンは中長期的な半導体市場の成長を見据え、積極的な研究開発投資や設備投資を続けている。岩手県のほか、山梨県や宮城県、熊本県に拠点を持ち、開発や生産体制の強化を進める。
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