千葉銀行の米本努頭取(左)と千葉興業銀行の梅田仁司頭取は県内統合を決めた。

地方銀行や信用金庫など地域金融機関のあいだで体力や収益力の二極化が進んでいる。金利の復活に伴う経営環境の改善を踏まえ、全国で再編や統合構想が相次ぐ一方、提携する相手をなかなか見つけられずに体力が低下する地方銀行も少なくない。

体力を回復できない地銀が増えれば、人口減少などで苦境に立つ地方経済はおカネのめぐりが滞る。再編から取り残された地域金融機関が経営難に陥った場合に備え、金融当局は安全網の整備を怠るべきではない。

2025年4〜9月期、上場している地銀のうち約2割が連結純利益で減益だった。いずれも増益だった三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)など大手行とは状況が異なる。

地域金融では新型コロナウイルス禍の収束も加わり再編の動きが再加速している。様々な形態の統合・提携が同時並行で進む。

千葉銀行は千葉興業銀行と支店網が重なるのに、同じ県内で経営統合に踏み切る。金城湯池を県外他行の攻勢から固める。

第四北越FGと群馬銀行の統合も異色だ。店舗統廃合による効率化が見込みにくい県境を超えた再編だからだ。

なりふり構わずの感も否めないが、将来を見据え、生き残りに向けた経営者の危機感は評価したい。47都道府県に100以上あった地銀の数は2桁に減った。

それでも地域金融機関の再編はまだ途上だ。東北や四国など一部で将来人口に比べて銀行の数がなお多すぎる地域は残る。

公的資金を使って資本支援したり、再編を促したりする施策を金融庁が継続することはなお必要だろう。相手先が見つからないのであれば、地銀―信金・信用組合といった異なる業態どうしの統合も検討する必要がある。

半面、公的資金を活用するからには深刻な不祥事が続々と発覚する、いわき信用組合(福島県)のような事例は許しがたい。当局は監視の目をもっと凝らすべきだ。

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