
住友ゴムとNECは26日、タイヤ材料の適切な配合を導き出すため、既存のコンピューター上で量子コンピューターを疑似的に再現した「疑似量子技術」を活用する実証実験をしたと発表した。求める強度やはっ水性などを実現するため、最適な素材と配合量の組み合わせを抽出した。
住友ゴムの過去の実験データから、素材の種類と配合量が材料特性に与える傾向を分析して配合案を作成した。非熟練者が作成する場合と比べて、作業時間を95%削減した。
住友ゴムとNECは7月、研究開発で提携した。NECの人工知能(AI)や量子といった先端技術を住友ゴムの研究開発に生かす。今回の実証は提携の一環となる。
両社はAIに新材料を探索させる実証も実施した。学会で発表されている論文や住友ゴム社内の材料選定基準などの資料を生成AIに読み込ませた。「水に触れるとタイヤ表面のゴムが軟らかくなるゴム材料」の開発で適用したところ、材料探索にかかる期間を従来比60〜70%削減できた。
両社は研究開発部門だけではなく、情報システムや知財など複数の部門をまたいで協業する。同日の記者会見で、住友ゴムの水野洋一常務執行役員は「NECは当社の業務課題を把握しており、技術者、研究者同士の相互理解も深い」と提携の意義を語った。
材料開発分野にAIなどの先端技術を活用する動きは広がっている。NECの西原基夫最高技術責任者(CTO)は自社の強みについて「過去に素材開発を手掛けてきた経緯があり、AIや量子だけではなく、材料の技術を持ってる人材がいる」と強調した。
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