旭化成の鉛蓄電池向けセパレーターの「ダラミック」

旭化成は2日、鉛蓄電池用のセパレーター(絶縁材)事業を米投資会社のキングズウッドキャピタルマネジメントに売却したと発表した。売却額は非開示で、2026年3月期の連結業績予想には織り込み済みだとしている。同事業は旭化成が15年に買収した米ポリポア社の一部だった。事業ポートフォリオ改革を進める。

セパレーターは電池の正極と負極を隔てる絶縁材の機能を持つ。旭化成は電気自動車(EV)などに使われる湿式タイプに加え、買収したポリポア社が手掛ける製造コストが低い乾式タイプと鉛蓄電池向けの「ダラミック」の計3種類を展開している。ポリポア社は15年に約2600億円で買収していた。

鉛蓄電池はフォークリフトや車のエンジン始動時のバッテリーなど向けに使われ、ダラミックはドイツ、フランス、中国など世界7カ所に生産拠点を持つ。

老朽化した米国工場の閉鎖や生産性改善などを進めダラミック事業は黒字だが、将来の成長性に鑑み事業ポートフォリオ改革の一環として売却を決めた。売却に伴って26年3月期に利益か損失のどちらで計上されるかは明らかにしていない。

セパレーター事業全体ではポリポア社を巡って23年3月期に1850億円の巨額の減損損失を計上し、旭化成の20年ぶりの最終赤字の要因となっていた。買収当時はEV向けにポリポア社が手がける乾式タイプが主流になると見込んでいだが、実際には湿式タイプが主流となって販売が伸び悩んだ。

湿式タイプではEV需要を見込みカナダでの新工場建設を24年4月に決めた。その後EVの成長は鈍化し、旭化成の顧客で新工場に出資もしているホンダはカナダのEV工場の稼働を延期する予定とした。

25年11月の決算会見で旭化成の堀江俊保代表取締役は「遅れている日系車メーカーの状況を鑑みて、様々なところを販売先として検討している」と説明し、計画は変更していないとした。

セパレーターは中国勢の台頭で日本勢がシェアを落としているほか、EVの成長が伸び悩んでいるため採算が悪化している。同業各社も構造改革を進めている。

東レは日本、韓国、ハンガリーに生産拠点を持ち、折半出資していたハンガリー工場の持ち分全てを合弁相手の韓国LG化学に売却すると10月に発表した。米EV大手のテスラなどに採用されている住友化学も26年3月に日本国内での生産から撤退し、韓国拠点に集約すると11月に発表している。

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BUSINESS DAILY by NIKKEI

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