
パナソニックホールディングス(HD)は9日、九州工業大学と共同で開発している水中通信システムを2030年にも実用化すると発表した。通信速度は現在普及する通信規格「4G」並みで、より鮮明な映像や音声が送信できる。ロボットやドローンなどに搭載すれば効率的な海底調査や資源探査ができるようになる。
パナソニックHDなどの企業連合が開発した「ネッサム」というシステムを使う。ネッサムは一般的な電線に特殊な機器やアンテナを取り付けることで、有線通信と無線通信ができるようにする。通信に使う周波数帯の広さを変えることで通信速度が向上し携帯電話の「4G」並みの毎秒1ギガ(ギガは10億)ビット程度の速度が実現できる。
ネッサムは既に地上ではビルやマンションでの通信システムとして実用化が始まっており、来年には通信システムの国際規格としても認められる予定だ。
従来、水中での通信は音や可視光を使って通信するシステムが研究されていたが、通信速度が遅かったり、濁っている水中では使いづらかったりするなどの問題があった。ネッサムなら水中の透明度に関わらず高速な通信が実現できる。
水中から鮮明な映像や音声が送れるようになれば、海底資源の探査もしやすくなる。日本近海の海底には、磁石の性能を高めるのに使うレアアース(希土類)などを含む泥が堆積していることが確認されている。レアアースは日中の関係悪化に伴い中国が輸出制限に動くリスクも指摘されているが、パナソニックHDなどが開発した通信システムを使えば効率的に採掘できるようになる可能性がある。
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