
日本財団は10日、新岡山港(岡山市)と香川県小豆島の土庄港(土庄町)を結ぶフェリーを「自動運航船」とし商用運航を始めると発表した。自動化システムが国の船舶検査に5日合格した。一般客が乗る定期船では世界初という。当面は従来通り船員が運航するが11日以降に専門家が立ち会う際は自動運航も用いる。
国際両備フェリー(岡山市)が運航する「おりんぴあどりーむせと」に、日本財団主導の自動運航船プロジェクトに参画する三菱造船などが開発したシステムを搭載した。10日には岡山市沖の瀬戸内海に浮かぶタグボートを自動制御で避けて運航するほか、桟橋に自動で船を着けるデモを報道陣に公開した。

自動運航ではレーダーやセンサーで状況を把握する。針路に船や障害物があれば避けるルートを計画し、海図に照らし浅瀬がないかなど安全性を確認した上で人手を介さず船を動かせる。自動運転車では特定条件下で運転手が不要な「レベル4」に相当するという。船員不足の緩和や安全性の向上などが期待される。
当面は従来体制の1日4往復の一部便で運航する。船員の習熟度を高めるなどし、2025年度中にシステムの本格運用を目指す。日本財団が自動運航の社会実装を目指す一環で、海野光行常務理事は「海事分野のイノベーションにつなげたい」と強調する。25年度中にコンテナ船など他の3路線でも商用自動運航を予定する。
両備ホールディングス(岡山市)の小嶋光信グループ最高経営責任者(CEO)は「離島航路の難しさを凝縮したようなところで安全性が実証されれば有人離島の多い日本にとって大きなソリューションになる」と期待を込めた。
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