8月30日に日本で発売する花王の「めぐりズム 蒸気めぐるアイマスク」

花王は25日、蒸気を発する温熱シートのブランド「めぐりズム」を刷新し、日本だけでなくアジア地域での販売拡大に乗り出すと発表した。海外では競合が存在感を増す中、商品の性能を高めつつグローバル向けの開発体制に切り替えて競争力を高める。2030年には同ブランドの売上高を24年の1.5倍の200億円超を目指す。

「めぐりズム 蒸気めぐるアイマスク」を30日に国内で発売する。不織布の厚みを従来品の約2.6倍にし、保温性も約1.5倍に高めて蒸気量も増やした。国内外で人気の金木犀(きんもくせい)やヒノキの香りもラインアップにそろえた。12枚入りの店頭想定価格は1410円で従来品から約1割程度高まる。

統一ロゴ・デザイン導入

新商品の発売を機に、温熱で血行促進をイメージさせるグローバル統一のロゴや商品デザインを導入した。都内で開いた発表会で仲田実沙希ブランドマネジャーは、今まで日本の価値提案をそのまま海外に輸出し、日本語を外国語に訳して展開してきたと説明。「日本最適からアジア最適にシフトし、リブランディングを機にグローバルに拡張していく」と強調した。

地球温暖化やデジタル情報の膨大化、高齢化社会が進む中、花王は心身の不調を感じる人口が今後も増えると予測する。

めぐりズムのアイマスクは、約40度の蒸気で目元を温めてリラックス効果が得られる特長から、「血めぐり」の促進による健康提案を国内外の市場に広げる。日本のほか、血めぐりの意識が生活に根付く中国や韓国、台湾、世界中にいる華僑を主要ターゲットに見据えている。

花王独自の調査によると、循環の不調を感じる人のケアの市場規模は中国が1194億円と最も大きく、次いで日本が452億円、韓国が317億円、台湾が241億円と続いた。一方、インバウンド(訪日外国人)ブームでめぐりズムの東アジアでの認知率が4〜8割にのぼる中、使用率は2〜3割程度にとどまっている。

背景の一つは、現地メーカーとの激しい競争だ。花王によると14年に中国市場に進出してめぐりズムの販売を始めたが、17年ごろから現地メーカーの競合が出始め、新型コロナウイルス下だった20年以降に競合がさらに躍進。足元では目薬ブランドを展開する現地競合の市場シェアは20%と首位に上り詰めており、花王は12%程度で2番手に転落している。韓国や台湾でも競合が多いという。

仲田氏は「花王が持っている商品の科学エビデンスを各地域で分かりやすく発信し、競合との優位性を図る」と語る。金額を明らかにしていないが、主力市場の中国や日本での販売促進費を1.3〜1.5倍に増やし、インフルエンサーやSNSを活用してブランドの特徴や価値を発信する。

国内外の販路も拡大していく。めぐりズムの国内配荷店を現状の4000から秋には2.5倍の1万店に増やし、大手ドラッグストアを中心に展開していく。海外では電子商取引(EC)の顧客開拓を中心に販路を拡大する。

各国従業員がプロジェクト参加

開発体制も見直した。日本産を維持しながら中国や韓国、台湾の従業員もグローバルプロジェクトに参加し、現地での意識調査やデザイン開発などを担当。「日本フォロー型」から転換し、国や地域を超えた価値提案を目指している。

めぐりズムは05年の発売以来、ブランドとしての刷新は初めてだ。6月時点でアジアを中心に10エリアで展開している。出荷金額ベースでの海外比率を24年の27%から30年には35%まで高める計画だ。日本市場での8月末の新商品発売を皮切りに、中国や台湾、韓国でも来月から順次展開する。国内外でブランドを刷新し、さらなる認知や使用率の向上を目指す。

(徐潮)

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BUSINESS DAILY by NIKKEI

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