住友精密が開発したデータセンター向けの空冷装置

住友精密工業は2026年にデータセンター向け冷却装置の量産を始める。11月に本社工場(兵庫県尼崎市)に年3万台の製造ラインを導入したのに続き、段階的に生産能力を引き上げる。主力製品の熱交換器の技術を生かし、サーバー内のCPU(中央演算処理装置)などを空気で冷やす空冷型の装置を手掛ける。

住友精密はこれまでにサーバーの世界大手が多い台湾企業を中心に10社を超す企業から空冷装置を受注した。今後は米国企業からの受注も目指す。生産能力は将来、年50万台以上に引き上げるとしている。

近年はサーバーの高性能化に伴い、放熱についてもより高い処理能力が求められている。空冷よりも熱を冷ましやすい水冷式の装置も増えているが、空冷に比べるとポンプなどの周辺機器が必要で導入コストがかさむ課題がある。住友精密は空冷式で水冷式に近い性能を目指している。

具体的にはデータセンターから出る1000ワットから1200ワット級の熱を空気で冷やすよう設計した。装置の開発を担う住友精密の樫直樹チーム長は「高性能なCPUや画像処理半導体(GPU)は水冷でしか冷やせないとの見方もあるが、住友精密の技術なら空冷が可能だと示したい」と話す。

住友精密は1961年、住友金属工業(現・日本製鉄)の航空機器事業部門が独立して発足した。金属加工技術を生かして熱交換器の分野に進出した。1990年代から新幹線向け電子部品の冷却装置を手がけており、その技術をデータセンター向けの装置に応用した。

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