
人工知能(AI)半導体スタートアップのエッジコーティックス(東京・中央)は2026年半ばにも電力効率に優れた次世代のAI半導体を開発する。ロボットなど産業機器やデータセンターなど向けを想定する。
サキャシンガ・ダスグプタ最高経営責任者(CEO)が明らかにした。開発中の次世代AI半導体「SAKURA-X」について「開発期間を1四半期以上前倒しできた」という。26年末までに主要顧客に対し、サンプル出荷を始める計画だ。
データセンターに多く使われる米エヌビディアの画像処理半導体(GPU)はAIの学習や推論に幅広く使われる。汎用性がある一方、電力消費が課題となっている。エッジコーティックスはAI用の特定の処理に特化した設計にすることで電力効率を高める。ダスグプタCEOは「次世代のAI半導体はエヌビディアのGPUと比べ、1ワット当たりの性能を5倍以上にできる」と話す。
東京ビッグサイト(東京・江東)で開催中の半導体の国際展示会「セミコン・ジャパン2025」では主力の高性能半導体「SAKURA-II」の展示もした。クラウドと通信することなく端末内で3つのAIモデルを同時に処理できる。「いま何時ですか」などと日本語や英語で話しかけると即座にAIが認識し、人同士の会話のように回答を文章や音で即座に返答する。自動車の運転支援や工場での活用を見込む。
エッジコーティックスは米マイクロソフトや理化学研究所出身のダスグプタ氏が19年に設立した。工場を持たず、製造は台湾積体電路製造(TSMC)に委託する。米国防総省の国防イノベーションユニット(DIU)から契約を獲得した実績があり、ルネサスエレクトロニクスも出資している。
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