上場後の記者会見で話すパワーエックスの伊藤正裕社長(19日、東京都中央区)

送電網につなぐ蓄電池の製造・販売などを手がけるパワーエックスが19日、東証グロース市場に上場した。初値は公開価格(1220円)を7%下回る1130円で終値は1430円だった。同日、東京証券取引所で記者会見した伊藤正裕社長は「安全性とメーカーが直接保守する部分で中国勢より競争優位性がある」と述べた。主なやりとりは以下の通り。

――初値の受け止めは。終値はストップ高となりました。

「株価は(投資家の)皆様が評価するものなのでコメントは差し控える。ただ電力やエネルギーは奥が深く、『日本はどうなっているのか』というところから投資家も始まる印象だ。当社としてはなるべく投資家向け広報(IR)は厚めに一般の投資家にもしていきたい」

――中国製の蓄電池との差別化は

「中国製の電池とは顧客の種類が違う印象だ。長期的に安定的に使う前提で(蓄電池を)買うエネルギー企業は当社製を採用するケースが多い。現在(中国製などは)ものすごい数の蓄電所が転売されている状況だ。そのような顧客はどちらかというと値段だけで選ばれる」

「当社の蓄電池は中国製のシステムより10~15%ほど高い印象だが、それだけの付加価値はある。蓄電池は時間によっては主電源になる可能性すら出てきているので、非常に安全性とコントロール(制御)性が高いものが求められている。国内でメーカーが直接保守するところなどに競争優位性がある」

――電気自動車(EV)の充電事業の成長はどう見ますか。

「今年それなりに投資をしており、年末にかけてEVの充電ステーションが開くところもある。ただEVは国内で鈍化している。車が走っていなければ充電器も売れないし、充電する方も減ってしまうので、国内のEVの普及率に合わせて投資は調整する。現段階では昨年対比を上回る投資は控える方向で検討している」

――東証の上場基準が厳しくなるなど新規株式公開(IPO)に逆風が吹いています

「当社の顧客はかなりの大企業ばかりだ。保守的な基準で取引先や製品を選ばれるケースが多い。数十億円単位の基礎インフラの発注もあり、どうしても少し信用を上げたいと思っていた」

「厳しい上場審査がある中でのIPOで、一定以上のガバナンスを含めて取り組んでいるつもりだ。蓄電池事業への長期的なコミットをしていると受け止めてもらいたい」

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