東京電力ホールディングスは、今月20日にも柏崎刈羽原発6号機(新潟県)の再稼働に踏み切る。2011年3月の東電福島第1原発事故以来、同社の原発再稼働は初めてで、26年は政府が掲げる「原発の最大限活用」方針が一段と加速する見通しだ。ただ、使用済み核燃料を再利用する「核燃料サイクル」の実現には不透明感が拭えない。
「エネルギー基本計画は(業界の)憲法みたいなもの。そこからいろんな動きにつながった」。電気事業連合会の林欣吾会長(中部電力社長)は昨年末の記者会見で1年をこう振り返った。
昨年2月に閣議決定された基本計画では、事故以来堅持してきた「可能な限り(原発)依存度を低減する」との文言を消し、原発の再稼働と建て替えを推進する方針を明記。年末にかけ、新潟県の花角英世知事が柏崎刈羽6、7号機の再稼働に、鈴木直道北海道知事が北海道電力泊原発3号機の再稼働に、それぞれ同意した。
日本の原発は事故後、一時的に全て運転を停止した。その後14基が再稼働したが、西日本が中心で、東日本では24年10月に再稼働した東北電力女川原発2号機(宮城県)のみ。日本原子力産業協会の増井秀企理事長は「原発事故を起こした東電が安全対策を高め、安定的に運転すれば、原子力産業全体にとって象徴的な意味がある」と話す。
さらに、関西電力は次世代原発新設を視野に、福井県美浜町で地質などの調査に着手している。
一方、原発から出る使用済み核燃料を巡る課題は残ったままだ。政府は燃料からウランやプルトニウムを取り出して再利用することを基本方針に据える。その中核となる再処理工場は26年度中の完成を目指すが、過去27回にわたり完成を延期。原発の使用済み燃料プールは満杯に近づき、電力各社は中間貯蔵施設などでの一時保管を模索するが、綱渡りの状態が続く。
再利用できない高レベル放射性廃棄物(核のごみ)についても、最終処分地選定に向けた動きは鈍い。第1段階の「文献調査」に進んだのは北海道の寿都町、神恵内村、佐賀県玄海町の3自治体。北海道の2町村は既に調査を終えたが、第2段階の「概要調査」への移行には道が反対しており、先行きは見通せない。
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