説明会で話す旭化成の工藤幸四郎社長(8日、東京都千代田区)

旭化成は重点成長事業と位置づける医薬品や電子材料・部品で、2030年度に売上高営業利益率を15%以上とすることを目指す。8日開いた説明会で明らかにした。腎疾患向けの薬や半導体材料がけん引する。同社全体の営業利益は25年度も過去最高更新を見込む。変動性が高い石油化学関連に代えて薬や半導体材料などを軸に成長を目指す。

旭化成は石化関連を含む素材、ヘルスケア、住宅の3つの領域で事業を展開する。連結営業利益で過去最高を更新した24年度は石化関連事業以外が営業利益の9割を占めるまでになり、それまでの最高益だった18年度時点の6割から大きく高まった。工藤幸四郎社長は「ポートフォリオ改革が進み利益構造は確実に変化している」と強調する。

25〜27年度の中期経営計画での営業利益目標2700億円は「確実に達成できるレベル」(工藤氏)で、けん引役となるのが重点成長事業だ。医薬品、除細動器(AED)などの医療関連機器、海外住宅、電子材料・部品の4事業で計600億円の増益を見込む。

医薬品事業では欧州企業を買収し手に入れた腎疾患向けの薬「タルペーヨ」が好調だ。最大で年間5億ドル(約780億円)と見込む売上高も当初想定の30年度以降から2、3年前倒しで達成する見通し。服用期間の長期化などが実現すれば上振れも見込めるという。

素材企業が手掛ける医薬品事業は各社で方向性が分かれ、治療手段の多様化や多額の開発費を要することを理由に事業を売却する企業もある。旭化成でヘルスケア領域を担当する四ノ宮健専務執行役員は「ホームラン狙いではなくヒットを積み重ねるビジネスモデルだ」と話す。希少疾患などに対象を絞り治験や営業のコストも抑える。

旭化成は30年度に医薬品事業の売上高を3000億円とする目標に向け、27年度までに3つ目となる大型のM&A(合併・買収)を検討している。「大型M&Aは今回で終え、その後ライセンスインで充実させていく」(工藤社長)考えだ。売上高の20%を研究開発にまわし、新薬を2年に1つは市場投入できる持続的な新薬開発の体制を目指す。

電子材料・部品事業では、人工知能(AI)で需要が高まる先端半導体向けの絶縁材料が好調だ。27年度は電子材料・部品で計300億円の営業利益を目標とし「電子材料が好調でこの目標を超える成長を目指したい」(山岸秀之専務執行役員)考えだ。

海外住宅事業では米国が潜在需要は高いものの、金利の高止まりなどの影響で足元は伸び悩む。「新規顧客の開拓やコスト削減を進める」(川畑文俊副社長)とし、26年度後半以降を見込む需要回復に備える。

【関連記事】

  • ・三井化学など、石化再編の実行局面へ トップが描く26年の戦略
  • ・旭化成ファーマ、静岡の研究拠点を移転 神奈川の湘南アイパークに
  • ・旭化成と名古屋大、次世代半導体トランジスタ開発 6G通信など向け
  • ・鉄鋼や製紙、迫る「供給過剰の2030年」 化学は10年ぶり再編期
BUSINESS DAILY by NIKKEI

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。