老朽化が進むゆがふ製糖の工場(12日、沖縄県うるま市)

沖縄県内のサトウキビ農家らは13日、新たに農業協同組合を設立すると発表した。老朽化した沖縄本島唯一の製糖工場を建て替える主体となる。工事費用は約190億円を見込み、農業支援の観点から県や市町村が一定額を負担する方針だ。官民で連携して伝統産業の維持を目指す。

「沖縄県さとうきび農業協同組合」を3月にも設立する。サトウキビ関連の農協は同県初という。組合長に就く朝比奈大地氏は同日開いた総会後の記者会見で「10年、20年先にサトウキビを存続させていかなければいけない」と語った。

本島唯一の製糖工場、ゆがふ製糖(同県うるま市)はサトウキビの収穫時期に合わせて毎年冬から春にかけて操業している。現在の工場は築70年近くがたち、老朽化している。同社だけでは建て替え費用をまかなえず、県が主導して議論を進めてきた。

農林水産省は県の要請をもとに工事費用の補助率を従来の60%から68%へ引き上げた。総事業費187億円のうち128億円を負担する。農業用の共同施設は全国で老朽化が進んでおり、工場維持を政府も後押しする。

組合長に就任するサトウキビ生産者の朝比奈大地氏㊨(13日、那覇市)

ゆがふ製糖は本島の全26市町村を対象にサトウキビを仕入れており、工場が無くなれば影響が全域に広がる。そのため県は各自治体にも事業費負担を求めている。国や同社の負担分を除く56億円について、県と市町村が3対1の割合で支出するよう要請している。

当初は1対1の負担を求めていたが、現在生産者のいない自治体から軽減を求める声が上がり県の比率を引き上げた。県糖業農産課は「農地がない地域でも運送や肥料・農薬など関連産業がある」とし、理解を求めている。3月末までに市町村と合意のうえ国へ補助金の申請を目指している。

新農協の設立には自治体の負担を軽減する狙いがある。公共団体が事業主体の場合に利用できる「補正予算債」で、事業費の5割を地方交付税で補える。民間企業のみでは使えず、農協の立ち上げがカギになる。

農協は工場建て替えのほか、サトウキビの品質向上や加工体制の充実などに取り組む。本島内の生産量は2016年の17万トンをピークに、25年は見込み値で11万トンまで減少している。朝比奈氏は「機械化を確立して作業効率を上げていきたい」と意気込んだ。

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