違法な配置転換命令の後に自ら出向先を探すよう迫られたとして、旭化成の子会社「旭化成エレクトロニクス」(東京)の社員が同社に330万円の損害賠償などを求めた訴訟の判決で、東京地裁は13日、55万円の賠償を命じた。中野哲美裁判官は、配置転換自体は適法としつつも、出向先探しを1年以上続けさせたことは実質的な退職勧奨に当たるとし、「違法」と判断した。
判決によると、50代の社員は2023年9月に半導体などの製品開発関連の部署から人事室付に異動を命じられた。社内の制度に基づいて、旭化成グループ外への出向や転籍先探しに取り組むように言われ、旭化成本社の人事担当者とのウェブ面談や履歴書・職務経歴書の作成をした。社用の携帯電話や名刺は与えられなかった。
会社側は24年1月、社員に解決金と退職金計6000万円を支払い、その上で退職することを提案したが、社員は拒否した。社員は訴訟で「配置転換により命じられた業務は転職活動だったが、転職活動が『業務』ということはあり得ず、配置転換命令自体が違法」と主張した。
これに対して判決は、社員の周囲との関係からすれば、配置転換命令には業務上の必要性があったと指摘。一方で、旭化成という日本有数の企業グループ内で配属先を全く見つけられないことは想定しがたく、1年を超えて外部の出向先探しを続けさせたことは違法だと結論づけた。
旭化成エレクトロニクスは「判決の内容を精査し、今後の対応を検討する」とコメントした。【安元久美子】
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