かつては別荘地として人気を集めた福島県磐梯町の七ツ森地区に移住した起業家が、ペンションだった空き物件を体験型観光や地域住民との交流の宿に再生するプロジェクトに取り組んでいる。「季節の移り変わりを体感できるこの地で、暮らすように旅をして地元の良さを感じられる施設にしたい」と意気込む。
千葉市出身の小川直樹さん(29)は高校時代に、東日本大震災で甚大な被害を受けた岩手県宮古市で災害ボランティアを経験。その時に「被災した皆さんは自分たちが苦しいはずなのに優しく接してくれた。知らなかった経験や世界が広がっている」と感銘を受けた。青山学院大を休学して、米国横断旅行などで見聞を広めた。
IT人材転職支援大手「レバテック」を経て2021年2月に猪苗代町、同年冬に磐梯町に移住。趣味のカメラを生かして情報発信しつつ、起業してSUP(スタンドアップパドルボート)が楽しめる体験型観光やゲストハウスなどを運営している。その中で、磐梯山のふもとにある「七ツ森ペンション村」を知った。
半世紀前に森林を切り開いてスキーブームの先駆けとなり、多い時は20軒のペンションが建ち並ぶ人気スポットとなったが、少子高齢化やレジャーの多様化で現在は6軒まで減少した。空き物件も目立ち、昨季の大雪の影響で倒壊しかけている建物もあるという。
小川さんが知人から紹介されたのは、19年4月に閉館した「プチポワ」(磐梯町磐梯)。手入れが行き届いて十分に使用に耐え、客室6室に一棟貸しができる離れ、露天風呂、サウナに遊戯室まで備えていた。ここを取得して地域の仲間らとDIY(自作)で少しずつ改修し、25年12月にプレオープンした。
新たな宿は、増加している移住者ら地域住民と宿泊客らが触れ合う「まちの入り口」となるよう「灯ノ環(とものわ)」と名付けた。自身が経営する居酒屋「のみくい処(どころ)七ツ家」も移転させて地元の食材を振る舞い、藍染め職人や老舗米穀店らとも交流して「旅のように暮らし、暮らすように旅する」体験型観光を提供できる場所を目指す。
クラウドファンディング(https://camp-fire.jp/projects/902345/)で1月末までリノベーションの資金を募っている。【錦織祐一】
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