
三菱自動車は22日、社長交代に伴う説明会を開いた。岸浦恵介執行役員(56)が社長に昇格し、加藤隆雄社長(63)は会長兼最高経営責任者(CEO)に就く。中国勢が台頭する主力の東南アジア市場の死守と、中南米など成長市場の拡充を両輪で進める。
「もう1段2段の地力をつけて持続的な成長を目指す」。説明会に出席した岸浦氏は、少し緊張した面持ちで決意を述べた。加藤社長はCEO職を続投し、岸浦氏は新たに設立した最高執行責任者(COO)を兼務する。
三菱自は経営の難局にある。販売台数のうち3割を占める東南アジアでは中国勢が急速にシェアを伸ばす。岸浦氏は「中国のメーカーは技術力と商品力があり、何よりコスト競争力が高い。いかに戦うかが最大の課題だ」と話す。
三菱自の強みは「世界中で幅広く稼げる戦略車だ」(岸浦氏)。東南アジア向けに開発した新型車「デスティネーター」はベトナムやフィリピンで好調だ。中南米や中東など今後の成長が見込まれる地域でも拡充を目指す。
岸浦氏は「常識的に(販売台数の限界を)判断するところがある。そこを突き抜けるような販売戦略を考えたい」と話した。
岸浦氏は2025年4月にコーポレート企画本部長に就任する前は、米州本部長や欧州子会社会長などを歴任した。約40カ国で10年ほど腕を振るった。「突き抜けるような」戦略には、こうした海外経験を生かした企画力と実行力が求められる。
中国勢の台頭と米国の高関税政策の影響を受け、三菱自の26年3月期の純利益は前期比76%減の100億円と大幅減益の見通しだ。加藤社長は「一つ方向性を間違えれば、とんでもないことになる」と率直に明かした。
主要株主である日産自動車とホンダとの協業議論は一進一退の状況が続いている。他社連携や大株主との関係構築など中長期の経営課題は加藤社長が担い、より実務に直結する部分を岸浦氏が差配する。
加藤社長は岸浦氏の人柄について「市場環境が厳しい時でも、『もうひと頑張りしたらきっと販売を伸ばせます』と言ってくれる」と話す。「経営は理屈じゃない。最後は根性が大事になる」とし、岸浦氏の前向きな姿勢を評価した。
三菱自動車は26年3月期で現行の中期経営計画を終え、今春にも次期中計を発表予定だ。縮小均衡にならず、成長軌道に回帰できる戦略を打ち出せるかが、新社長として最初の大仕事になる。
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