KDDIの新サービス発表会に登壇した竹沢浩取締役(28日、東京都港区)

KDDIは28日、米スペースXの衛星通信網「スターリンク」を活用したスマートフォンとの直接通信サービスにおいて、天気予報サービスなど、19のスマホアプリが利用できるようになったと発表した。従来は音声の通信網を使ったメッセージの送受信などに限られていた。データ通信への対応は世界初となる。

直接通信は地上基地局の電波が届かない山間部などでも通信環境を構築することができる。KDDIはまず圏外地域で需要が見込めるアプリから対応した。天気予報や登山関連の情報を提供するアプリ、グーグルマップ、X(旧ツイッター)などが使える。閲覧できる情報を制限するなどしてデータ使用量を抑える。

今後は直接通信で使えるアプリを増やしていく意向だ。そのためにはアプリの開発企業側で仕様を変更する必要がある。対話アプリのLINEなどのSNSについては使えるようにKDDIから依頼している。現状、動画の視聴は難しい。将来的に可能になるかどうかはスペースXの開発次第になるという。

KDDIの直接通信サービスに接続するとグーグルマップなどが圏外地域でも使える(28日、東京都港区)

データ通信に対応している端末は、米グーグルの「Pixel 10」シリーズや、韓国サムスン電子の「Galaxy Z Fold 7」など6機種となり今後増やす方針だ。米アップルの「iPhone」についてはKDDIから働きかけている状況だという。

KDDIは直接通信サービスを利用できるauの新料金プランを9月から始めるとも発表した。60歳以上、16歳以下、12歳以下と対象年齢を設定してデータ容量の上限を設けた。

60歳以上向けのプランは5分間の国内通話を無料とし、データ容量5ギガバイト(ギガは10億、GB)で月額4048円とした。12歳以下向けのプランは通信速度を制限し、課金防止アプリなどを付けて月額1870円とした。東京都内で開いた発表会に登壇した竹沢浩取締役は「秋商戦や年末商戦に対応する」と述べた。

通信各社は直接通信サービスの整備を急いでKDDIに対抗する。NTTドコモとソフトバンクは2026年からの参入を表明している。楽天モバイルは米ASTスペースモバイルの衛星を使って26年10〜12月にサービス提供を始める計画だ。

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BUSINESS DAILY by NIKKEI

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