私の会社人生の半分は海外です。20年近く米国、欧州、アジアと渡り歩くなかで、国際社会の変容を肌で感じてきました。いま世界は分断され、地政学リスクが高まりやすい時代に変わりつつあります。グローバルからインターナショナルに移ってきた感じでしょうか。米国主導で一つの社会を目指すのではなく、国や社会の境界線は引かれたまま、それぞれがつながり合うイメージです。
そんな国際社会の変容にどう向き合えばいいのでしょうか。三井住友ファイナンス&リース(SMFL)の主力事業の一つは航空機リースです。グローバル展開が必須で、国際社会あってのビジネスです。アイルランドに拠点を置き、様々な国の多種多様な人材が世界中の航空会社と取引しながら事業を進めています。

米国一極型の国際社会が変容するなかで、私は日本にポジティブな興味を抱く人が少なくないと気づきました。中東は脱石油時代を見据え、面白いソリューションを伝えてくれる国として強い関心を抱いています。漫画やアニメが文化として受け入れられ、日本の礼儀を身につけさせようと日本人学校に子供を通わせる富裕層もいます。フランスでは柔道人口が今や日本の4倍以上に達しています。子供に規律の大切さを教える効果があると言われることも人気の秘密かもしれません。言い過ぎかもしれませんが、海外は日本が共生社会の基盤を有していると思い始めているのではないでしょうか。
海外で長くビジネスに携わるうえで感じたのは、日本人がコラボレーションやパートナーシップ、チームアプローチ、コミットメント、長期的視点をとても大切にしていると見られていることです。社会の安定を求める日本の文化や価値観にもっと自信を持っていいと思います。
ただ日本人は「元祖」や「本家」などの概念へのこだわりから同質性を求めてしまいがちです。発想を切り替え、「日本流」でなく「ジャパニーズスタイル」という表現で英語を通じて日本の文化や価値観を共有し、日本らしさへの許容度に広がりを持つことが必要ではないでしょうか。柔道で例えるなら、日本で柔道着といえば「白」ですが、オリンピックは「青」も着用します。
私は「英語」という道具を使えば、日本の細かいニュアンスによるやり取りがなくても仕事がうまく回ることを体感しました。未来を見据えたとき、多様な人が協力し合える職場にすれば、海外の人も迎え入れやすくなります。多様な文化や価値観が共存する組織こそ、革新的な価値を生み出す基盤であり、国際社会全体に通用する概念だと信じています。
いま知りたいのは、こうした考えを、とくに若い人たちがどう受け止めるかということです。縮む日本が海外とどう関わって未来を紡いでいくか。分断が進む国際社会に目を向け、共生できる未来社会を築くにはどうすればいいか。皆さんのアイデアやご意見をお聞かせください。
三井住友ファイナンス&リース・今枝哲郎社長の課題に対するアイデアを募集します。投稿はこちら(https://esf.nikkei.co.jp/future20260202/)から。編集委員から
いま世界を覇権主義の暗雲が覆っている。ロシアのウクライナ侵略など、地政学リスクが急速に高まり、世界の分断があらわになってきた。社会・経済基盤が脆弱な新興国はあっという間に大国にのみ込まれかねない、そんな時代。世界を再び結び付けるには、様々な国の多種多様な人材が長所・短所を補い合い、共生社会を再構築するしかない。
そのフロントランナーになり得る素養を持つのがリース業界だ。たとえば資金力が乏しい新興国の大規模インフラ整備。航空機や機械設備のリースを効率的に活用すれば、社会・経済基盤を築く大きな手助けになる。リユースやリサイクルといった脱炭素型の事業構造は、SDGs時代に合致したビジネスモデルだ。
経済が成熟した日本に、かつてのような規模を生かした経済支援は難しいかもしれない。だが発想を切り替え、創意工夫で現場ニーズに合った提案を打ち出すことはできるはず。その一歩が国際社会の新たな未来を描くカギになる。(編集委員 小栗太)
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今回の課題は「変容する国際社会と共生するには何が必要ですか?」です。420字程度にまとめた皆さんからの投稿を募集します。締め切りは10日(火)正午です。優れたアイデアをトップが選んで、25日(水)付の未来面や日経電子版の未来面サイト(https://www.nikkei.com/business/future/)で紹介します。投稿は日経電子版で受け付けます。電子版トップページ→ビジネス→未来面とたどり、今回の課題を選んでご応募ください。
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