
富士フイルムは12日、バイオ医薬品の受託製造を担う英国の新工場棟の開所式を開いたと発表した。総投資額は4億ポンド(約830億円)。医薬品産業で開発と生産を複数企業が分担する「水平分業」が広がっていることに対応する。
英国ビリンガムで建設していたバイオ医薬品の原薬の製造棟と、生産プロセスの開発棟の開所式を現地時間11日に開いた。原薬の製造棟は26年前半に稼働する。
原薬の製造棟の床面積は1万219平方メートル。有効成分を取り出すために細胞を増やす5000リットルの培養槽を3基、2000リットルの培養槽を2基備え、総容量は1万9000リットルとなる。富士フイルムとしては中型の製造設備だが、今回の増設を経て英国内では最大のバイオ医薬品の受託生産拠点になる。
富士フイルムは製薬会社からバイオ医薬品の生産を受託する「バイオCDMO」事業に11年に参入し、次世代の成長の柱と位置づけている。デンマークや米国では1基あたり2万リットルの大型タンクを備える拠点が既に稼働しており、計画分も含めた総投資額は1兆円を超える。
富士フイルムがバイオCDMOに賭けるのは、医薬品産業で水平分業が広がっているからだ。医薬品の開発が人工知能(AI)やバイオ技術の発展で高度化するなか、製薬会社はより上流の新薬候補の探索や開発に経営資源を集中している。製造設備への巨額投資を負担せずに、生産工程を富士フイルムなどへ外部委託する動きが広がる。
富士フイルムは世界で製造設備や品質保証のシステムを統一した「クローン工場」を建設している。今回、英国の原薬工場の製造設備は、27年に富山県で稼働予定の工場と同一だ。
顧客である製薬会社側は先に稼働する英国拠点での稼働実績を見て富山県の新工場に委託するかを見極められる。富士フイルムはバイオCDMOで競合するスイスのロンザや韓国のサムスンバイオロジクスとの差別化をねらう。
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