チョコレートの原材料となるカカオ豆とカカオの種皮=ゲッティ

 チョコレートの原料カカオが高騰するなか、製造過程で取り除かれるカカオ豆の種皮「カカオハスク」を活用した商品が注目されている。これまで捨てられていた素材に新たな価値を加えて活用する「アップサイクル」を通じてカカオの安定調達を目指す明治ホールディングスの松田克也社長は、毎日新聞の取材に「チョコレートの概念を変え、カカオの本質的な価値をもっと高めたい」と語る。

 明治は2006年にカカオ農家への支援を始めた。22年からはカカオの新しい価値を創造する取り組み「ひらけ、カカオ。」を展開している。チョコだけではなく「カカオの可能性を広げる」のが狙いだという。

 カカオハスクを原材料に、協力企業とジーンズを作ったほか、バイオプラスチックにしてチョコの容器などにも活用。昨年日本で開催された第9回アフリカ開発会議(TICAD9)では、カカオハスクを使ったボールペンが配布された。

 松田氏は「捨てていたものが新たな製品になることで付加価値が生まれる。『明治さん、もっと高くカカオを買ってよ』となれば、一番いい」と話す。カカオ全体の価値を高め、収益を生産農家らに還元することで、カカオの持続的な成長につなげたいという。

 また、カカオハスク由来の製品とチョコの価値を「本当は『主従逆転』させたい」とも強調。カカオハスク製品をまず作り、余った豆をチョコに回すくらいの発想の転換により「将来的にチョコレートがすごく安く売れるかもしれない。そうなれば、社会が変わるのではないか」と期待する。

 看板商品の「明治ミルクチョコレート」は9月に発売から100周年を迎える。日本にチョコレート文化を根付かせたロングセラー商品だが、松田氏は「継続は大切。しかし『安定』はマイナスにも作用する。100年の歴史に安住してはいけない」と自戒する。

 明治はチョコの概念を変えるため「子どものおやつ」という意識から脱却し、産地にこだわったカカオ本来の香りを楽しむ「明治 ザ・カカオ」や、美や健康を考えた高カカオの「チョコレート効果」などを生み出してきた。従来のチョコの枠を超えた新商品「生のとき」も1月13日から全国で販売を始めた。

 松田氏は「『虫歯になる』『太る』とネガティブな存在だった昭和の時代から、食べることで『体に良い』という新しい市場を創出してきた。歴史の重さを感じつつ、今後も新しい価値を生み出し続けたい」と語った。【佐久間一輝、鴨田玲奈】

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