実験に使われたKDDIの大阪堺データセンター(堺市)

KDDIは18日、データセンターと通信拠点を結ぶネットワーク上で、量子コンピューターでも解読できない暗号技術を使って大容量のデータを送る実証実験に成功したと発表した。高いセキュリティーを求める金融や医療機関向けの回線サービスや、データセンター間の接続などに応用可能となる。

同日、先端技術の研究を行うKDDI総合研究所(埼玉県ふじみ野市)が開催した研究開発の成果発表会で明らかにした。

実験では、1月に開業した堺市のデータセンターと大阪市内の通信拠点を使用。両拠点を次世代の暗号技術「量子鍵配送(QKD)」や「耐量子計算機暗号(PQC)」を使ったネットワークで結び、毎秒57テラ(テラは1兆)ビットのデータを問題なく送れると確認した。

今後は高いセキュリティーを求める顧客との対話を重ねながら、技術を応用したサービスの提供につなげる。

量子コンピューターは量子力学を応用した次世代の計算機だ。今後の発展に伴って、現在広く使われている暗号の解読に用いられ安全性が低下するリスクが指摘されている。自国の利益や価値観に沿って開発・運用する「ソブリン(主権)AI(人工知能)」の需要が高まる中、セキュリティー強化は急務となっている。

研究成果について説明するKDDI総合研究所の小西聡所長(18日、埼玉県ふじみ野市)

政府は電源と通信インフラを一体整備する「ワット・ビット連携」を掲げ、データセンターを再生可能エネルギーのある地方に配置する構想を掲げている。遠距離のデータセンターや拠点同士を結ぶには大容量のデータを低い遅延で送る必要があり、最新の暗号技術を使っても送信に問題ない技術が必要とされてきた。

KDDIは同日、最適な通信品質を保つため、電波の照射方向や強さの調整をAIが自動で行う基地局を一部エリアで先行導入したと発表した。2026年度に全国の基地局で順次導入を目指す。

先行導入したエリアでは、混雑などで通信が低速になる地域が導入前に比べ25%縮小した。また、従来は基地局ごとに調整を手動で行ってきたが、今回の技術で自動化することにより作業時間を9割削減した。

他にも、月と地球の間の光通信で必須となる技術の確立に向けた実証を3月から開始することや、未知の手法を使ったサイバー攻撃に対応するセキュリティー技術の実証に成功したことも公表した。

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