大塚ホールディングス(HD)傘下の大塚製薬は27日、米バイオテクノロジー企業のトランセンド・セラピューティクスを買収すると発表した。買収額は7億ドル(約1100億円)。同社が持つ心的外傷後ストレス障害(PTSD)治療の新薬候補を取得し、精神・神経領域事業で開発品を拡充する。
トランセンドは2021年設立で、精神・神経疾患治療に使う医薬品開発に強みを持つ。現在、PTSDなどを対象とした新薬候補「TSND-201」の開発を進める。大塚製薬も精神・神経領域を強みとしており、買収による相乗効果(シナジー)は高いと判断した。
大塚製薬の米子会社を通じ、26年1〜6月期中に買収を完了する予定だ。大塚製薬は買収にかかる資金の7億ドルに加え、開発品の売り上げに応じて最大5億2500万ドルをトランセンドの株主に支払う。大塚HDは26年12月期の連結業績への影響について「確定次第、公表する」とした。
トランセンドが開発中のTSND-201は、記憶の形成や感情の調整を支える「神経可塑性」を高める作用が期待される。25年7月に米食品医薬品局(FDA)からブレークスルーセラピー(画期的治療薬)の指定を取得した。現在、米国で最終段階の臨床試験(治験)に向けて患者の登録を進めている。
大塚製薬によると米国ではPTSDの年間有病者数が1300 万人以上と推計されているが、この約25年間、新たな治療薬が承認されていないという。トランセンドが開発を進めるTSND-201をPTSD治療薬として米国で発売し、精神・神経領域の事業拡大を目指す。
大塚HDの26年12月期の連結純利益(国際会計基準)は前期比27%減の2650億円になる見通しだ。利益率の高い腎臓病治療薬「ジンアーク」は特許切れにより販売が落ち込む。3000億円超の主力の抗精神病薬「レキサルティ」も29年ごろに特許が切れる見通しで、次の収益の柱の確保が急務となっている。
そのため、大塚製薬はM&A(合併・買収)に積極的だ。18年には独自の抗体創薬技術をもつ米ビステラ、24年には低分子創薬に強みを持つ米ジュナナを買収している。精神・神経領域では23年に向精神薬を開発するカナダのマインドセットを買収した。
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