東芝、三菱電機とのパワー半導体事業の統合協議について取材に答えるロームの東克己社長(27日、京都市右京区)

ロームと東芝、三菱電機は27日、パワー半導体事業の統合に向けて協議を始めると発表した。同日、ロームの東克己社長が京都市のローム本社で日本経済新聞などの取材に答えた。

2月にデンソーから買収提案を受けたことに関して「黒船襲来ではないが、統合に向けた議論が加速した」と述べた。

統合を検討する対象はローム本体と、東芝子会社の東芝デバイス&ストレージの半導体事業、三菱電機のパワーデバイス事業だ。

夏めどに東芝との統合スキーム示す

東社長は3社の統合のスキームについて、まず夏をめどに東芝との事業統合の方針を示したいとした。その後、三菱電機も含めた統合案を固めるという。

具体的には「まずロームと東芝デバイス&ストレージの半導体事業が統合することになる」と述べた。そのうえで三菱電機を含めた各社のパワー半導体事業を切り出し、ジョイントベンチャー(JV、共同企業体)で運営する見立てを明らかにした。

米オムディアによると、ロームと東芝はパワー半導体の世界シェア(2024年)で12位と10位に位置し、事業統合の協議を進めていた。ここに同4位で国内最大手の三菱電機が加わる。統合が実現すれば、合計の世界シェアは単純計算で世界2位になり、独インフィニオンテクノロジーズに次ぐ規模になる。

東社長は、ロームが東芝と協業交渉するなかで「日本企業でまとまらないと世界では勝てない」と認識したという。三菱電機とも水面下で話し合いを進めてきた。

デンソーからの買収提案については「(ロームの社外取締役らで構成する)特別委員会が別軸で検討している」と述べ、3社の事業統合への対抗策ではないとした。デンソーの提案に対する回答時期などは明言を避けた。

ロームの半導体はデンソーを最大の顧客とする。仮に買収が実現すれば「デンソーの販路を活用して事業を安定させ、車載向けを伸ばせる」とした。一方で「半導体不足になると車載向けが中心となってしまい、今後伸ばしたい人工知能(AI)データセンター向けなどに回らないリスクがある」との認識を示した。

ロームは省エネ性能の高い炭化ケイ素(SiC)を使ったパワー半導体に強い。東芝は現在主流のシリコン製で電力関連などに顧客層が広い。三菱電機は産業向けの高耐圧の領域が強い。

3社連合「開発やコスト競争力高まる」

東社長は「3社の強みを融合すればポートフォリオのバランスがとれ、開発力やコスト競争力が高まる。サプライチェーンも強靱(きょうじん)化できる」と連合のメリットに言及した。工場の再編や統廃合、生産の集約も想定しているとした。

ロームの26年3月期の連結売上高は4800億円の見通し。三菱電機のパワーデバイスを含むセミコンダクター・デバイス事業は2900億円を見込む。東芝が最後に通期で開示した23年3月期の業績で半導体製造装置のニューフレアテクノロジーなども含む「半導体事業」は4454億円だった。

今後はデンソーの動きが焦点となる。三菱電機を組み入れての新たな統合協議入りは、デンソーの買収提案に影響する可能性が高い。東社長は「3社連合が株主価値を最大化できると思う」と強調した。

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